一、内の火を外に持ち出すな。
二、外の火を打ちに持ち込むな。
三、与える者に与えよ。
四、与えない者には与えるな。
五、与えない者でも与えるべき時がある。
六、幸せに座りなさい。
七、幸せに食べなさい。
八、幸せに眠りなさい。
九、火に奉仕しなさい。
十、家の中の神仏への感謝を欠かさない。
昔インドのコーサラ国に右の家訓を護っている長者がいました。
可愛い娘が嫁ぐ日、何度も何度もこの家訓を伝え、幸せになることを祈りました。
長者がこの家訓を娘に伝えている時、娘の舅になる長者が側でこの話を聞いていましたが、意味が理解できません。そこで娘が嫁いで来てから家訓の意味を尋ねると、嫁は「内の火を外に持ち出すな。とは舅や姑、夫の不徳を決して外の者に話してはならない。」と云うこと。「外の火を家に持ち込むな。とは世間で家族の悪口を聞いても家に持ち帰って告げ口してはいけない。」「与える者に与えよ。とはお返しする者には物を贈れ。」「与えない者には与えるな。とはお返しをしない者には贈り物をするな。」「与えない者でも与える時がある。とはお返しがしたくても出来ない者には施しを与えよ。」「幸せに座りなさい。とは年長者や来客が立っているのに一人座ってはならない。」「幸せに食べなさい。とは家族と仲良く食事の準備をし、片付けをし、互いに譲り合って楽しい食事をしなさい。」「幸せに眠りなさい。とは部屋を整理整頓し、明日の準備をして眠りなさい。」「火に奉仕しなさい。とは火を扱うように舅や姑には常に謙虚で細心の配慮を持って接しなさい。」であり「家の中の神仏への感謝を欠かさない。とは常に神仏の加護を感謝し、家族も神仏のように想って、感謝の心で接しなさい。」ということです。と説明した。舅はこの話を聞くと良い嫁をもらったと喜び自分たちもこの家訓を護ろうと誓い合った。と言う寓話があります。
家庭崩壊が叫ばれる今日、今一度この家訓を見直したいものです。
(文・清水谷善圭)