『幸せってなんだっけ なんだっけ ポン酢醤(しょう)油のある家さ』という明石家さんまのテレビコマーシャルを見ていた子供が、
『ねえ、お母さん、うちにポン酢しょう油ある?』
『あら、あいにくきらしちゃってないわ』
と答えたら、子供はすかさず
『じゃあ、うちは幸せじゃないんだ』
お母さんはあわてて隣の家からポン酢しょう油を借りて来たら、子供は、
『幸せって、借りて来るものなのか…』
と言ったということです。
また、この話にはもう一説あり、お母さんは、隣の家には行かず、スーパーに買いに行った。すると子供は、
『幸せって買うものなの?』
と言ったというのです。
この話は大変皮肉な言い回しではありますが、本当の幸せとは何かを考えるヒントを与えてくれています。
ところで、昔の話にこんなのがあります。
極楽でも地獄でも食事はするのだそうですが、その食事を比べて見ると、全く同じなのです。食器も、おかずの味も、量も、食事時間もすべて同じなのですが、たった一つだけ全く正反対のところがあります。
極楽ではにこやかに楽しげであるのに、地獄では先を争い、ケンカが絶えない。そこが違うのです。その原因は、箸の使い方にあるらしい。
箸だって、地獄も極楽も同じです。もっとも、私達が普段使う箸とは違って、数十倍長い。ですから、その箸で食べ物を自分の口に入れようとすると、箸が長すぎてうまくいかない。地獄では、我先に食べようと焦るものですから、隣の人を箸でつつくことになり、ケンカになる。
ところが、極楽では、その長い箸の利点を利用して、遠くに座っている人に食べ物を食べさせている。お互いに助けあっているものですから、とても楽しげなのだということです。
この話しは、私達に本当の幸せとは何かということを語りかけているのです。
幸せとは、「仕合う」ことなのです。人の幸せのために何かを心がける。そうした中にこそ本当の幸せがあるのではないでしょうか。