仏さまの前に御供えする灯火を灯明といいますが、仏教ではこの灯明を迷いを破る智恵にたとえ大いに尊重します。
お釈迦さまは、亡くなる直前に、「自らを灯明とし、法を灯明とせよ」と説かれました。
「この世で自らを島とし、自らを頼りとして、他人を頼りとせず、法を島とし、法をよりどころとして、他のものをよりどころとせずにあれ」(中村元訳「ブッダ」最後の旅)とあります。
お釈迦様は、説法の旅の途中で死病に倒れられますが、一時は回復して小康状態を得られます。その時、若い弟子阿難尊者が「私が、これから進むべき道、教えも私にはまだ明らかでない。それなのにお釈迦様は、涅槃に入られるのかと心配でしたが、これで安心です」と言うのを聞いたお釈迦様は「私に何を期待するのか。教えはすでに説いている。私がいる、いないにかかわらず、自分を頼りとし、正しい教えを頼りとしなさい」と諭されたのです。