天台宗について

法話集

No.22からだに塗(ぬ)るお香

 数種の香木(こうぼく)を混ぜて粉末にした、塗香(ずこう)という薄茶色のお香があります。仏さまに捧げる六種の供物の一種で、お線香やお焼香の場合のように、香を燻(くゆ)らして供えるものとは違い、自分の口にふくみ、身体に塗(ぬ)るお香です。そうすることによって身体の内外(ないげ)を清めてから、お堂でのお勤めや儀式作法に入るのです。普通はお勤めをする机のそばやお堂の入口に用意され又、小さな入れ物で携帯することもあります。
 先ず塗香を左手に受け、右手の人差し指と中指に少しつけ、口に含みます。次にお香を両手で数度磨り合わせ、胸に当て塗ります。僧侶はこの手法を師僧から教わるのですが、一般の方にはあまり知られてないようですね。
 先日、十歳になったばかりの稚児の得度式がありました。そこでもこの塗香の作法が最初にあり、可愛い坊(ぼん)ちゃんが白衣に身を包み、香を恐る恐る受けながら体に塗り、ひたすらに合掌している姿は、やさしい光が放たれているようで実に美しく清々しさを感じました。
 もし、塗香をいただくことがありましたら、この作法を思い出してみて下さい。
掲載日:2005年09月26日

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