比叡山宗教サミット23周年
「世界平和祈りの集い」を開催
八月四日、比叡山延暦寺において比叡山宗教サミット二十三周年「世界平和祈りの集い」が開催され、千名近い参加者が、戦争のない平和な世界が訪れることを真摯に祈った。二十三周年を迎えた今年の集いでは、ローマ教皇庁諸宗教対話評議会議長のジャン=ルイ・トーラン枢機卿や世界仏教徒連盟(WFB)のパン・ワナメティー会長の「平和メッセージ」が発表されるなど、世界の宗教者が手を携えて世界平和のために祈り、行動する大切さを訴えた。
続いて、半田孝淳天台座主猊下が登壇し平和祈願文を朗読。その中で半田座主猊下は、「平和とは、単に戦争がないということではなく、人間どうしの睦み合う融和の状態、人類共同体の実現をいう。およそ正義や慈悲のないところに平和はない」という比叡山メッセージをあらためて取り上げ、そのための行動を強く訴えた。
それを受け、神道・仏教・キリスト教・イスラム教など各教宗派の代表者が登壇、「平和の鐘」が打ち鳴らされる中、世界平和を祈って黙祷が捧げられた(写真)。黙祷に続き、高見三明・長崎カトリック大司教区大司教が「平和を語る」と題し講演。高見大司教は、一人ひとりの人間が、平和を壊す働きを抑制し互いによい関係をつくる努力が必用とし、平和を壊す欲望に打ち勝つのは愛であると強調した。
また、世界宗教者を代表して、ジャン=ルイ・トーラン枢機卿とパン・ワナメティーWFB会長の平和メッセージが読み上げられ、世界の宗教者が宗派の垣根を越えて、共に平和のために行動する必要性を訴える声明に、参加者から大きな賛同の拍手が湧き起こっていた。
続いて天台青少年比叡山の集いに参加した青少年代表によるユニセフ募金の贈呈式、「比叡山メッセージ」の朗読、「平和の合い言葉」の宣言が行われた。時代を担う若者たちの平和への願い、世界の全ての人々との連帯を求める力強いメッセージに、参加者も将来への希望の光を見いだした様子だった。
なお、今集いでは、広島の原爆で被爆したピアノの演奏も行われた。惨禍を潜り抜けたピアノの美しい調べに、参加者も平和への思いを新たにしていた。