信州善光寺で前立本尊の「御開帳」
信州善光寺(長野市)の「善光寺御開帳」が四月五日、開闢した。この御開帳は、七年に一度行われる同寺最大の盛儀。御開帳の期間は五月三十一日に営まれる結願大法要まで、約二カ月に亘り、中日庭儀大法要はじめ様々な法要、奉納行事が執り行われ、期間中は全国から数百万人の参拝者が訪れる。
この御本尊は、欽明天皇十三(五五二)年、仏教伝来の折、百済から渡ってきた日本最古の仏様と言われており、その約百年後、今から千四百年ほど前から絶対秘仏となっている。従って、その後は、前立(まえだち)本尊が祀られてきたが、今ではその前立本尊も秘仏化し、拝観できるのは御開帳のみとなっている。
開闢の五日に先立って三日には「大回向柱」が建立された。この大回向柱は、高さ約十メートルで、前立本尊の御手と「善の綱」によって結ばれ、参拝者はこの綱に触れることにより、御本尊の阿弥陀如来と直接触れるのと同じ功徳が得られるとされる。
翌四日には、午後三時より「前立本尊御遷座式」が執り行われ、御宝庫に安置されていた前立本尊が本堂内々陣まで御宝輦により運ばれ、御遷座となった。続いて「回向柱開眼法要」が行われ、回向柱に巻かれた白布が取り除かれると、前立本尊との縁を結ぼうと多くの参拝者が幾重にも取り巻き、願い事を祈りながら回向柱に触れていた。
五日は午前六時の「お朝事」(お勤め)で小松玄澄善光寺大勧進貫主により、秘仏の前立本尊が祀られている厨子が開けられ「一光三尊阿弥陀如来」の姿が現れると、早朝より参集した参拝者の間から大きな祈りの声が湧き起こっていた。引き続き午前十時より「御開帳開闢大法要」が厳修され、五月三十一日まで、五十七日間の御開帳のスタートとなった。
なお、この御開帳に合わせ、同寺と縁の深い元善光寺(長野県飯田市)、祖父江善光寺東海別院(愛知県稲沢市)、関善光寺(岐阜県関市)、岐阜善光寺(岐阜市)甲斐善光寺(山梨県甲府市)の「善光寺」五カ寺でも、史上初めての同時御開帳が行われている。