沖縄の地で初めての特別授戒会
来る二月二十四日、沖縄県うるま市の地蔵院(金城永眞住職)において特別授戒会が行われる。天台宗では開宗千二百年慶讃大法会事業の一環として、各教区において特別授戒会を奉修してきたが、沖縄の地で行われるのは初めてのことである。会場となる地蔵院は昨年、一宗と包括関係を結び、正式に天台宗寺院となった。今回の特別授戒会奉修は「天台の教え」が着実に根を下ろしつつある証とも言えよう。
沖縄は徳川時代初期に琉球王国が薩摩・島津藩に征服され、島津藩の宗教政策の結果、僧侶の布教も禁じられ、檀家や信徒も形成されなかった。また、もともと祖先崇拝の信仰が厚く、独特の宗教儀礼を尊び、本土とはかなり異質な風土を持つ地である。
もちろん天台の教義も、当然のことながら根付くこともなかった。大正時代に一人、修験系の僧侶がいたことが記録に残っているが、比叡山で修行を積んだ僧ではなく、後には他宗に転派している。このため、地蔵院が沖縄における初めての天台宗寺院であり、金城師が初めての正統な天台僧といえる。
天台宗では、開宗千二百年慶讃大法会事業の一つとして、天台宗の寺院が少ない地域である広島県・鹿児島県・沖縄県への「三県特別布教」を実施している。沖縄県では昨年七月に「天台の教え」の紹介をテーマに特別講演会を開催し、好評を得ている。
今回の授戒会の伝戒和上は森川宏映探題大僧正で、一宗から濱中光礼天台宗宗務総長、本山から金城師の師匠である中山玄晋大僧正、隣接の九州東西教区の役職者など、多数が出仕する。受戒者は六十名を超える模様。
会場となる地蔵院の金城住職は「昨年夏に特別講演会を開催していただきましたが、非常に盛況でした。それを見て、どうしても次は授戒会を行いたいと、思っておりました。この三月で開宗千二百年慶讃大法会も円成を迎えることでもあり、今回の授戒会は良い機会でした。人は皆、仏であり、その心の内なる仏に気づいていただきたいと思っております。授戒はそのきっかけであり、ご縁を結んでいただく機会です。私にとっても仏のみ教えをさらに弘めていく機会ともなり、今後ますます布教に努力したいと思っております」と、授戒会を迎える心境を語っている。