第21回世界宗教者平和の祈りの集い
十月二十一日から二十三日まで、聖エジディオ共同体が主催する「第二十一回世界宗教者平和の祈りの集い」がイタリアのナポリで開催され、天台宗も代表団を派遣した。同祈りの集いには、日本の各教宗派の代表団をはじめ、世界各国から代表的宗教指導者たちが参加、世界が抱える諸問題について意見交換し、共に世界平和の実現を祈った。
杉谷名誉団長は、二十一日のオープニングセレモニーで「聖エジディオ共同体祈りの二十一年」と題して発言し、翌二十二日のフォーラムでは「暴力のない世界実現のための宗教間対話」について提言した。その中で杉谷名誉団長は宗教が政治に利用され、暴力が生み出す憎しみの連鎖の道具に使われている現状を分析、諸宗教が互いの霊性を認め、相互理解を踏まえた対話の必要性を主張した。更に対話の先に真の共生があり、「和解と許し」の地平が開けてくることを強く訴えた。
また、濱中団長は二十三日のフォーラムで「世界から暴力の根絶 日本宗教の果たす役割」について提言を行った。この中で濱中団長は、八月の比叡山宗教サミット二十周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」を踏まえて「自らの限られた世界観のみを正義として、他者を裁くという考えからは、決して世界平和は訪れない」と指摘。今夏の祈りの集いが、アフガンにおける人質問題にメッセージを発することで解決促進をはかったことについて触れ「世界から暴力、戦争が一日も早く消滅するように行動し続けていきたい」と決意を述べた。
そして各宗教者は、同日夕刻、会場となったサンカルロ劇場から、フルビシート広場に移動し、平和の行進を行った。また、ファイナル・セレモニーには、ナポリターノイタリア大統領も出席した。
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「原爆の子の像」に平和を祈り捧げる
「世界宗教者平和の祈りの集い」の折り鶴
この夏、八月三、四日に開かれた「世界宗教者平和の祈りの集い」において、天台青少年、ボスニアと広島の子どもたち、そして参加者一人ひとりが平和への祈りを込めて折った「折り鶴」が、去る十月五日、広島平和記念公園の「原爆の子の像」に捧げられた。「原爆の子の像」は、被爆して亡くなった子どもたちの慰霊と平和を築くために造られた像で、被爆し、十二歳で白血病で亡くなった佐々木禎子さんが回復を願って鶴を折ったことが像建立のきっかけとなっている。そのため、毎年世界中から折り鶴が捧げられている。
同日は、祈りの集いの主催者を代表して、谷晃昭日本宗教代表者会議財務部長(天台宗総務部長)が「折り鶴」を持参し、「原爆の子の像」に捧げた。