東日本大震災三回忌法要を営む
3/10福島県本宮市 3/11宮城県気仙沼市
東日本大震災から三年目を迎え、天台宗では、十日、十一日に福島県本宮市の観音寺(矢島義謙住職)と宮城県気仙沼市の觀音寺(鮎貝宗城住職)において「東日本大震災物故者三回忌慰霊並びに復興祈願慈光観音開眼供養法要」を厳修した。半田孝淳天台座主猊下のご名代として森川宏映探題大僧正(延暦寺一山真藏院住職)が大導師を勤め、両日の法要には、天台宗からは各教区宗議会議員・宗務所長を始めとする諸大徳、被災地東北を始め全国の震災犠牲者の遺族、被災者など有縁の人たち多数の参列があった。
福島県は、南北に連なる奥羽山脈と阿武隈山地の二つの尾根線を境界とした「会津」「中通り」「浜通り」の三つの地域に分けられ、観音寺のある本宮市は「中通り」に位置する。津波の直接被害こそないが、家屋、道路、教育施設、上下水道などに甚大な被害を受けた。また、原発事故で放射性物質の汚染により健康被害への懸念や、風評被害による地域経済の衰退が憂慮されている被災地である。
それだけに三回忌慰霊法要と、復興のシンボルとして建立された慈光観音の開眼供養法要には、震災犠牲者の鎮魂と、復興を祈念して、仮設住宅に避難している被災者など多数の人々が参列していた。
気仙沼・觀音寺では、震災の年、昨年と慰霊法要は執り行われているが、十一日の「東日本大震災物故者三回忌慰霊法要」にも、これまで同様、震災犠牲者の多くの遺族が参列。二年の月日が流れたとはいえ、まだ遺された遺族の人々の悲しみは癒えず、新たな涙を浮かべ、嗚咽する遺族の方々の姿があった。
阿純孝天台宗宗務総長は「この災害によって貴重な命を失った多くの人々、さらに、長期にわたって避難せざるを得ない人々に思いを馳せねばならない。そして、この苦難に屈することなく復興に立ち上がらねばならないと思う。我々天台宗は今後とも伝教大師の『忘己利他』の精神に則り、復興支援を続ける決意であり、皆様と力を合わせていきたい」と、復興に向けての呼びかけを行った。
三回忌慰霊法要に先立って、森川探題大僧正を導師として慈光観音の開眼供養法要が営まれた。慈光観音は、被災者誰もがお参りできるように、山門横に建立されている。