天台宗全国一斉托鉢を実施
毎年恒例となっている「天台宗全国一斉托鉢」が昨年十二月一日に行われた。今回で二十七回を数えるが、十二月の最初の日に行われることで、今では「師走を告げる風物詩」としてよく知られている。この日は、全国二十五カ所でも実施されたが、十二月の一斉托鉢期間中には、全国の六十カ所で行われる。寄せられた浄財は、NHKの「歳末たすけあい」や、各地の社会福祉協議会、一隅を照らす運動総本部の「地球救援募金」などを通じて、国内外の恵まれない人々に贈られた。
一隅を照らす運動総本部では、十二月を「地球救援募金活動強化月間」と定め、同運動の一環として活動を拡大し、宗全体の行事として位置づけて今日に至っている。
師走のスタートを切った一日、比叡山麓、坂本地区では、半田孝淳天台座主猊下、阿純孝天台宗宗務総長、武覚超延暦寺執行、延暦寺一山住職、天台宗務庁職員ら約百名が参加。
参加者一行は、宗祖生誕の寺である生源寺で法楽を執り行った後、半田座主猊下を先頭に、般若心経を唱えながら坂本地区を行脚した。
行く先々では、浄財を手に待ち受ける人も見られ、待ちかねたように半田座主猊下に駆け寄り喜捨。「どうぞ恵まれない方々のために、お使い下さい」との言葉に、半田座主猊下も「震災被災者の方も含め、困っている人々のために使わせていただきます」と感謝の意を表されていた。
参加者はその後、少人数に分かれ、坂本地区の家々を戸別に訪問したり、JRや私鉄の駅前で街頭募金を行った。
両陛下が曼殊院に行幸啓
天皇皇后両陛下は、昨年十二月三日に京都五箇室門跡のひとつである曼殊院門跡(藤光賢門主)を訪問され、秋の紅葉を楽しまれた。
曼殊院門跡に行幸啓されるのは、歴史上初めて。
両陛下は、藤門主の案内により大書院では黄不動(国宝)、また小書院では古今和歌集(国宝)などをご鑑賞になった。
後陽成天皇直筆の書「宸翰(しんかん)」の前では、天皇陛下は、しゃがみこんでご覧になり、「なるほど」とうなずかれていた。
また大書院・小書院の南面に広がる庭園では、紅葉の見事さに「素晴らしいですね」と感嘆の声をもらされた。