祖師先徳鑽仰大法会の記念事業
「天台学大辞典」編纂室が落慶
天台宗では、祖師先徳鑽仰大法会が今春四月に開闢、平成三十四年までの大法会期間中には、様々な法要、記念事業等が執り行われる。その一つに『天台学大辞典』の編纂・刊行があるが、このほど、その拠点となる「編纂室」が東京、寛永寺境内に完成。去る十一月二十六日、阿純孝編纂所所長(宗務総長)、菅原信海副所長(妙法院門跡門主)、清原惠光副所長(延暦寺学問所所長)、宗務庁内局参務、並びに辞典編纂に関わる要職者らが出席して、落慶法要が執り行われた。
天台宗では、戦前、二十五巻に及ぶ『天台宗全書』を発刊している。全書の出版を中断した戦中や戦後の混乱期を経て、一九八〇年に続編刊行の体制を整備、同八七年から『続天台宗全書』を継続刊行しており、併せて正確な辞典作成のため、今日も収録項目のカード化を続けている。
この結果、収取されたカードは七万項目を超え、辞典編纂への準備も調った。今後は、こうしたこれまでの蓄積をもとに、この編纂室において編纂作業が着々と進められることになる。
辞典編纂委員は十七名。この下に四十三名の研究員に加え、協力員二十九名が参加する。延べ九十名のスタッフとなる見込みで、その体制の下、編纂作業が進められる。
膨大な項目を有するため、専門分野を四つほどのジャンルに分類し、その構成のもとに委員会を設けて研究を進めるという。
地道な研究の積み重ねが必要とされる作業だが、十年後の成果が宗内外より大いに期待されている。
編纂室長として編纂作業の指揮をとる多田孝文大正大学学長は「辞典を編纂するには、やはり長い時間がかかる。この十年、誠心誠意務めたい。人生を捧げて、天台宗として恥ずかしくない立派な大辞典を作りたい。」と抱負を語っている。