3.11 祈る、ともに生きる
東日本大震災物故者一周忌慰霊法要/気仙沼・観音寺/三宗合同で
東日本大震災から一年を迎えた三月十一日、半田孝淳天台座主猊下は、宮城県気仙沼市の観音寺(鮎貝宗城住職)において、犠牲になった方々の「東日本大震災物故者一周忌慰霊法要」を厳修した。
今回の一周忌法要は、福家英明天台寺門宗管長、西村冏紹天台真盛宗管長も副導師として参加、初めての三宗派合同での慰霊法要となった。
慰霊法要に先だって、阿純孝天台宗宗務総長はじめ天台宗参務は、甚大な被害を受けた鹿折地区の気仙沼港において読経回向し、犠牲者の冥福を祈った。
一周忌会場となった観音寺には、四百名近い遺族が参列し、また全国から天台宗僧侶約七十名が出仕した。今回の慰霊法要には、武者小路千家第十五代家元後嗣千宗屋師による献茶も行われた。
法則で半田座主猊下は、肉親を奪われ、住居を破壊され、また家はあっても帰れない人々に対して「その思いを忖度するに胸潰れる思いである」と述べられた。
そして大震災が発生した十四時四十六分には、参加者全員で御十念(念仏)を唱え、物故者の冥福を祈った。
半田座主猊下が「大地震は津波を伴って原子力発電所の事故を誘発し、各地に甚大な被害をもたらし、多くの尊い人命を奪った。希望と未来を奪い、人々の心に苦難と悲しみを植え付けた。我々は天災、人災の恐怖を知った。しかし、人間は一人ではない。大勢の人に支えられて生きている。今多くの方々が復興に向け力を尽くしている。全国各地、世界から物心両面にわたる支援が寄せられている。各地からのボランティアの人々との間には大きな絆が生まれた。残された皆さまには、心を強く持って欲しい。根底から立ち上がることは難しいかも知れないが、困難な時には手と手を取り合い、手を合わせて神仏に祈りを捧げて頂きたい。必ずや一筋の希望の灯火を見いだせる。どうか一歩一歩ご自身の力で歩み出して頂きたい。私たちもより一層皆様の心に寄り添い、共に歩んで行きたい。皆様に安寧なる時が一日も早く訪れるよう心より祈念している」と述べられると、会場からは遺族のすすり泣きがもれた。