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長山滋賀教区宗務所長ら相馬市の仮設で餅つき
天台宗滋賀教区の有志住職と檀信徒が、十二月三日、東日本大震災被災者の支援と激励のために、福島県相馬市の仮設住宅で餅つきを行った。餅つきに先立ち、檀信徒が甚大な被害を受けた相馬市磯部の妙樂寺(岩崎豪信住職)では、長山慈信滋賀教区宗務所長を導師に、同教区住職の出仕で、物故者慰霊並びに復興祈願法要が営まれた。
同日は、同教区甲南部の文殊院(中村徹信住職)、慈音院(木村孝英住職)、嶺南寺(松岡順海住職)と長山所長が参加して行われた。
一行は、前日午前五時に臼や杵などの餅つき道具を車に積み込んで滋賀県を出発、約十二時間かけて福島に到着。
三日は午前十時から妙樂寺で法要が営まれたが、岩崎住職によれば磯部地区では二百五十人が犠牲になり、そのうち妙樂寺檀徒百十五人が亡くなったとのことである。
法要に参列した矢島義謙福島教区宗務所長は「天台宗の他教区が福島で大震災法要をされるのは初めてです。餅つきもしてくれるとのこと。感激でいっぱいです。復興へ進む決意を新たにしています」とお礼を述べ、林光俊同教区宗議会議員は「今日の感謝を忘れることなく、皆と上を向いて歩いていきたい」と挨拶した。法要には渡邉亮海前宗務所長も参列した。
その後、被災者約五百人が暮らす柚木仮設住宅へ移動、雨のために集会所で餅をついた。長山所長が見守る中、里山農場で栽培された餅米を土田住職と中村住職が最初につき、里山農場関係者に引き継がれた。つき上がった餅は、里山農場の婦人たちの手でアンコやきな粉がまぶされ、待ちかねた被災者の手に。「臼でついたお餅なんて、感激」「本当においしい」と大好評。さらに、お正月に食べてもらおうと五俵分を事前に加工し、真空パックに詰めた切り餅六百八十袋を持参。餅米のままで欲しいという地元の要望で、二俵分の餅米も小分けされ、柚木仮設住宅と北飯渕仮設住宅に配布された。
服部静夫同農場理事は「精魂込めて育てた餅米が、被災者の皆さんのお役に立つなら本当に嬉しい」と語った。長山所長は「里山農場の人たちが、餅米の作付けをして『被災地に届けたい。元気をつけてもらいたい』という心が有り難いこと。一日も早い復興を心から念じます」と語った。