東松島市グリーンタウン 仮設住宅に待望の軽トラック
天台宗有志5教区の12ヵ寺が贈る
東日本大震災で家を失った人々が暮らす宮城県東松島市大塩緑が丘の仮設住宅「グリーンタウン」に軽トラックが届けられた(写真)。贈ったのは天台宗有志寺院の十二カ寺。全国から届けられた物資を運んだり、買い出しのために使われるのはもちろん、ボランティアの人々も自由に使える。待望久しかった仮設住宅の「足」に住民からは「天台さん、ありがとう!」。
津波で寺を流された石川仁徳萬寳院住職が支援活動を行っていることもあり、天台宗からも多くのボランティアが入っている。
これまで、物資の運搬は、災害支援車に指定された石川住職の自家用車や、四月にボランティアに入った茨城教区の天台宗寺院の軽トラを借りて行っていた。
しかし、石川住職の車は、震災前に走行距離二十二万キロ、半年でさらに四万キロを走り、何回も海水に洗われ、ポンコツ同然に。
また、いつまでも借りた軽トラに甘えるわけにもいかず「自家用車では運べない物資運搬に使う車が欲しい」というのは仮設住宅住民の悲願となっていた。
その話を聞いた天台宗の有志寺院が教区を越えて呼びかけた結果、陸奥、埼玉、北総、
南総、茨城の五教区の有志寺院十二カ寺が基金を拠出した。
関係者は「最初は、五十万円ぐらい集まれば、と思っていた」と明かすが、一週間足らずで百九十四万円が集まった。早速、地元の箟峯寺の会計関係者が業者と交渉し、九月二十日に納車された。被災地の要望にすばやく応えたことで感謝の声があがっている。
軽トラは登録の問題もあり、一応石川住職に贈った形がとられているが、石川住職は管理をするだけという。「必要な人は誰でも使って欲しい。グリーンタウンの住人はもちろん、ボランティアの人も、地域の人も、垣根は設けない」。
誰でも運転できるようにするために保険は一番手厚いものに加入。雪の深い地域だけに四輪駆動、スタッドレスタイヤと装備も万全だ。荷台にはアルミのコンテナを載せる案も検討されている。
住民の足となり、力となって欲しい
千葉亮賢天台宗陸奥教区宗務所長は「被災地には、何より機動力が必要。この軽トラックが住民の足となり力となって欲しい。一隅を照らす車です」という。
また佐々木了章箟峯寺住職は「仮設住宅から本宅へと最後のひとりが引っ越しをする、その時を最後の仕事とするまで、この軽トラには頑張って欲しい」と語った。
なお、軽トラ購入後の浄財は、石川住職を通じて仮設住民のために使われる。
資金協力寺院は次の通り。()内は教区、住職(敬称略)。
來迎寺(埼玉・横山亮英)、觀音寺(茨城・松居照邦)、養雲院(茨城・大泊孝祐)、妙行寺(茨城・大宮孝舒)、円密院(茨城・山内良晃)、二本松寺(茨城・森良仁)、妙行院(茨城・大貫広暢)、観音教寺(南総・濱名徳永)、東榮寺(北総・玉田法信)、昌福寺(北総・山野井亮祥)、常蓮寺(北総・井上光映)、箟峯寺(陸奥・佐々木了章)。