9.11犠牲者を追悼、震災被災者へ連帯
「第25回世界宗教者平和の祈りの集い」独・ミュンヘンで開催
聖エジディオ共同体が主催する「第二十五回世界宗教者平和の祈りの集い」はドイツのミュンヘンで開催され、天台宗は杉谷義純宗機顧問を名誉団長とする十七名を派遣した。集いでは、世界の宗教者がアメリカの九・一一テロの犠牲者を追悼し、また日本の東日本大震災被災者の連帯と復興を祈念した。
十一日は、開会式に先立ちマルシュタルプラッツ広場にはクリスティアン・ヴルフドイツ連邦共和国大統領を迎えて「九・一一同時多発テロ追悼式典」が行われた。出席した全宗教者が犠牲者に黙祷を捧げ(写真・上)、鎮魂の鐘が打ち鳴らされる中、犠牲者を悼む焼香が行われた。
会場はニューヨークと同時中継で繋がれ、テロ犠牲者の遺族たちがモニターを通して「最初は恨みの気持ちでどうしようもなかったが、今は自分を大切にして、お互いを理解し生活しなくてはいけないと思うようになった」などと現在の心境を語りかけた。
続いて、この日のために作曲された「平和の歌」が披露された。歌は、悲しみを切々と訴え、死者を悼む荘厳なテーマから、次第に明るい調子へと変化し、最後は未来を展望する子供たちの合唱で締めくくられた。
開会式はヘレクレスザール(官邸)で行われ、ゼーホーファー・バイエルン州首相、ヴルフ・ドイツ大統領、コンデー・ギニア大統領、テュルク・スロベニア共和国大統領ら各国首脳が次々とスピーチを行った。
翌十二日は各分科会が開かれ、杉谷名誉団長が「アッシジの精神・二十五年の歴史」で、また栢木寛照団長(宗議会議長)が「震災後の日本」の分科会でスピーチを行った。
同日午後の全体総会にはメルケル・ドイツ首相が登壇し「平和は壊れやすいが、それぞれの宗教が創造的な力を分かち合う方向に進むことを願っている。二十五年の皆様の平和に対する対話と活動に心から感謝している」と述べると大きな拍手が起こった。
最終日の十三日は、各宗教の代表者がナチスのダッハウ強制収容所跡へ巡礼を行い犠牲者を追悼した。天台宗からは栢木団長が参加した。
ファイナルセレモニー冒頭に、東日本大震災についてスピーチを求められた杉谷名誉団長は「私たちは大きな家族の一員であり、共に生きる運命にある。人間同士の繋がりが人々を深い絶望から立ち上がらせた。それこそ現代社会に最も必要とされている連帯の心であり、アッシジの精神そのものであろう」と述べた。
来年はボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボで開催される。