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第259世天台座主に藤光賢大僧正がご上任

第258世天台座主大樹孝啓大僧正のご譲職に伴い、九州西教区金乘院住職の藤光賢探題大僧正(93)が、天台宗の古来よりの定めにより、令和7年2月1日滋賀院において第259世天台座主にご上任になられました。
◎上任式の様子
◎第二百五十九世天台座主 藤光賢猊下 上任式 おことば
 このたび大樹孝啓第二百五十八世天台座主猊下がご譲職のご意向を示され、宗規の定めるところに順い、図らずも第二百五十九世の法脈を継承し、天台座主の猊座を引き継ぐこととなりました藤光賢です。まことに薄徳浅行、身の至らざるを恥じるものでございます。一途に仏天のご加護と宗祖の冥助を仰ぎ、先師の余光と同法諸師、また檀信徒の知遇を得て、老衲およばずながら、重責を全うする所存でございます。
 大樹座主猊下におかれましては、平成二十三年より一宗挙げて取り組んでまいりました祖師先徳鑽仰大法会を率先され、ご指導ご教導を賜り、大法会の掉尾を飾ります総結願奉告法要では大導師をお務めなされました。比叡山宗教サミット三十五周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」では式典中、突然の天候不順にもかかわらず世界にメッセージを発せられる力強いお姿から、希望と勇気を賜りました。常に社会に向けて「祈り」と「対話」による世界平和を呼びかけられ、宗祖伝教大師の「忘己利他」「一隅を照らす」、そして自らが実践されてこられました六波羅蜜の教えを、いつも平易なお言葉で親しく我々を導いてくださり宗徒を代表しまして深甚の感謝を申し上げます。今後もご法体堅固に、引き続きご教導賜りますようお願い申し上げます。
 さて、わたしは長崎県出身で、高校二年生の時に初めて登叡し、無動寺谷におられた戦後初の千日回峰行を満行された叡南祖賢北嶺大行満大阿闍梨の室に入門しました。常に和尚は「お坊様として嘘をついてはいけない。ごまかしてはならない」と、わたしたちを厳しくご指導くださいました。また学者でもあられましたので、まさに解行双修の実践者であられたといえましょう。和尚が多くの弟子を育てられましたのは、人材育成に心血を注がれ仏国土の建設を願われた宗祖伝教大師様のみ教えの実践に他なりません。
 伝教大師は「道心の中に衣食あり、衣食の中に道心なし」と述べられました。仏道を求めて修行するなら、その目的を達成するための最低限の衣食住は必ずついてくる、と修行僧を励ましておられました。そして「国宝とは何者ぞ。宝とは道心なり。道心あるの人を名づけて国宝となす」。すなわち宝とは仏道を求める心であり、仏道を求める心を持っている人を国の宝というと諭されました。叡南祖賢和尚もこの教示を旨とし、わたしたちを導いてくださいました。わたくしも今日まで銘肝し教訓としてまいった次第です。
 現在のように、豊かな社会に浸かっていると様々な誘惑が人間を堕落させることは皆様ご承知の通りです。我々を取り巻く現実をみますと、日本を含めた世界は今、未曾有の大転換期を迎えていると申さざるをえません。経済や政治、戦争や紛争による分断が加速し、文化や教育も行き詰まっているように感じます。また命の大切さを軽視した行動も目立ちます。今年で戦後八十年を迎えますが、二十世紀は急速に豊かさを求めて進んだ時代でありました。また今世紀に入りましても、これまで経験したことがない感染症も世界的に流行し、我々の行動が地球温暖化による自然災害の多発を加速させたともいえるでしょう。人間の尊厳と安らぎが置き去りにされてきました。
 また、対立が激化し解決策が見いだしにくい世界規模の諸問題も、「互いの持つ仏性を尊重し共生する」という法華経の理念が橋渡しできる可能性を持っていると思います。そして宗祖伝教大師の「己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり」のみ教えの実践者が増えることで、真の平和が訪れ安寧な世が実現するとわたしは信じております。
 この閉塞感に覆われた現代こそ、まず我々宗教者が自戒し、釈尊より祖師方によって連綿と受け継がれてまいりました人々の魂を救済するみ教えを、「道心」をもって敷衍してまいらねばなりません。宗祖伝教大師の鴻恩に報いるため、わたしもより一層の精進・努力を傾けてまいりたく存じます。
 最後に、宗団を挙げて展開しております「一隅を照らす運動」につきましても、すべての人が幸せをわかちあい共生できる運動として推進してまいります。
 よろしくご理解、ご助力のほどお願い申し上げます。
令和七年二月一日
天台座主 大僧正 藤 光賢

更新日:2025年02月01日

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