天台宗全国一斉托鉢を実施
天台宗では、昨年十二月一日、全国一斉托鉢を実施した。この一斉托鉢は、毎年同日に行われており、今回で二十五回目を迎え、今では師走を告げる「街の風物詩」として知られている。
今回の一斉托鉢は、全国五十九カ所で実施された。寄せられた浄財は、NHKの歳末たすけあいや、各地の社会福祉協議会、日本赤十字社、一隅を照らす運動総本部の「地球救援募金」などを通じて、国内外の恵まれない人々に贈られた。
宗祖伝教大師のみ教え『忘己利他』の精神を実践に移す行動であり、国内のみならず世界の国々において、現に苦しみの境涯にいる人々を座視せず、手を差し伸べることの大切さを世に訴えることでもあった。
この托鉢はその後、十二月を一隅を照らす運動の一環である「地球救援募金強化月間」として定めて、活動を拡大するなど、天台宗全体の行事として今日に至っている。今では、この一斉托鉢は広く知られ、人々から寄せられる善意は大きなものとなり、全国的な規模となった。
師走のスタートである一日、比叡山麓の坂本地区では、半田孝淳天台座主猊下、阿純孝天台宗宗務総長、武覚超延暦寺執行、延暦寺一山住職、天台宗務庁役職員など約百名が参加した。
一行は、半田座主猊下を先頭に宗祖生誕の地・生源寺を出発、坂本地区の里道を般若心経を唱えながら行脚。
訪れた家々の玄関先では、浄財を持って待っている人も多く、座主猊下の姿を見ると、駆け寄って合掌し、ねぎらいの言葉と共に浄財を喜捨、座主猊下も「温かいお気持ちを有意義に使わせて頂きます」と感謝の意を表されていた。
その後、参加者たちは各々少人数の班に分かれ、坂本地区を戸別に訪れたり、JRや私鉄の駅頭で街頭募金を行い、多くの心のこもった浄財を受け取った。国内外で、災害や世界的な不況による貧困などで苦しんでいる人々も多く、この浄財はそうした人々に寄せられる。