平和のために提言する世界宗教者会議
平和・環境・貧困などの問題を話し合う「平和のために提言する世界宗教者会議~G8北海道・洞爺湖サミットに向けて~」が七月二、三の両日に亘り札幌で開催され、二十四項目の提言を採択、主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット・七月七~九日)を主催する日本国政府に提出し、サミット参加各国に配布を要請した。主催は世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会。
二日間に亘る会議では、「共有される安全保障」のテーマの下、世界が当面する環境問題、貧困問題、核廃絶、テロなどについて討議を重ねた。
宗教の垣根を越えての真摯な議論が展開された結果、二十四項目の提言を採択した。具体的には、軍事費の削減を図りその財源で環境保護推進の基金を創設すること、核軍縮・核不拡散の実施、依然として続くテロや紛争の解決のため異宗教間の協力を支持すること、エイズやマラリアなどの感染症対策強化などで、一国、一地域の問題ではなく、世界が一体となって取り組むべき必要性が盛り込まれている。提言は同会議に出席した大野松茂官房副長官を通じて日本国政府に提出され、四日、出席代表者が首相官邸でサミット議長を務める福田康夫首相に手渡した。
また、全体会議において各宗教による平和への祈りが行われ、日本仏教では半田座主猊下が代表として祈りを捧げると共に「天台宗の宗祖伝教大師は『因なくして果を得る。この処りあることなし』と述べられました。問題解決のためには、原因を知ることです。また『善なくして苦を免がる、この処りあることなし』と教えられている通り、善き行動によってこそ問題解決の道は開かれるのであります」と祈願文を読み上げ、世界中の一人ひとりが良心に従って善を行うことが、直面する問題の深化を止め、悲しみと絶望の淵に沈む人々を救うことになると訴えられた。
濱中宗務総長は「連日の熱心な討議によりまとめられた各提言が、世界の政治指導者の心に届くことを切に希望しています」と会議を振り返っていた。