北朝鮮の核実験反対を決議 第111回通常宗議会
天台宗の第百十一回通常宗議会は、十月十七日に招集され、会期を一日短縮して十九日に閉会した。今回の議会では、世界を震撼させた北朝鮮による核実験に対して強く非難する議会決議が採択された。
濱中光礼宗務総長は執務方針の中で「国際世論を無視して核実験を強行する国も現れるなど、世界は常に危機にさらされている」とし、明年八月に行われる「比叡山宗教サミット二十周年記念世界平和祈りの集い」では世界の諸宗教代表者を招き、相互理解と対話を深め、一日も早い世界平和実現に取り組みたいとの姿勢を示した。
一隅を照らす運動については、現在進行中の機構検討とも関連するとしながらも「外部に置かれている総本部は天台宗の組織として、組み入れることも検討いたしたい」と述べ、発足以来三十七年を経た一隅を照らす運動全体を考える必要があることを示した。また予算委員会では、天台宗務庁のコンピューターは導入以来十五年が経過しているため、来年度から機械設置と新プログラムに移行する準備を行うための補正予算と、相次ぐ市町村合併のため、今年中に発刊する寺籍簿の補正予算が可決承認された。
また、全議員が委員となる特別委員会では、 開宗千二百年慶讃大法会費特別会計収入支出補正予算案が審議され、鹿児島・広島・沖縄の三県に重点布教を行う「三県特別布教推進費」の充実に対して補正が認められた。
更に、去る十月九日に強行された北朝鮮の核実験については、世界唯一の被爆国として、また恒久平和を希求する宗教者として「世界の平和安定を脅かす重大な脅威」とし、断じて容認することはできないとの立場から、全会一致で反対決議が採択された。
『朝鮮民主主義人民共和国における核実験に対する反対決議文』
我々、天台宗宗議会は、人類史上世界唯一の核被爆国の仏教宗団として、いかなる国の核実験、核兵器の製造、核装備、核拡散につながる技術移転、取引等の非人道的目的を持つ、国益、国際的発言力強化の企てに、強く反対する。去る十月九日実施された朝鮮民主主義人民共和国発表に依る核実験に対し、宗憲、宗旨に基づき強く抗議し、北東アジアのみならず世界の平和安定を脅かす重大な脅威となり得る今回の実験に、非核、核兵器廃絶、核不拡散を恒久平和の為、求め続ける立場より反対し、全会一致で決議する。
平成十八年十月十九日 天台宗宗議会
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蒼穹に天女舞う ~舟底天井画を復元・三千院門跡
京都の三千院門跡(小堀光詮門主)では、開宗千二百年を記念して建設中であった新収蔵庫「円融蔵」が完成し、十月十六日に落慶奉告法要ならびに内覧会が行われた。
円融蔵の内部には、平安期に建立された往生極楽院(重文)の舟底天上に描かれていた天井画(写真)が、当時そのままに再現された。
永年にわたる護摩修法などで、極楽院の天井画は劣化が激しかったが、赤外線カメラなど最新技術を駆使した復元調査で原画デザインをつきとめ、日本画家の馬場良治氏が彩色顔料も当時そのままのものを使って、鮮やかに修復した。
円融蔵天井には、群青の天空にハスの花びらが降り注ぎ、天女が舞う、千体仏、両界曼荼羅なども描かれるなど、極楽の様子が細密に描写された。天井画には、落慶当日の朝まで筆が入れられ、参加者は感歎の声をあげていた。三千院で、一般に公開中。