海外開教にエール
-ニューヨーク別院・インド禅定林 諸事業への助成を決定-
天台宗では、昨年十一月二十五日に開かれた「開宗千二百年慶讃大法会海外支援事業調査特別委員会」(清水谷善圭委員長)において、ニューヨーク別院(聞真・ポール・ネイモン住職)の本堂建設などの諸事業に対して五千万円と、インド禅定林(サンガ・ラトナ・マナケ法天住職)にも三千万円の助成を行うことが決定。
去る二月に開催された第百七回通常宗議会で、同委員会の報告が了承され、助成金が交付される運びとなった。
ニューヨーク州イースト・チャダムにある同別院の信者は全員がアメリカ人で、布教もすべて英語で行われている。本紙の「アメリカ布教において、一番難しいことは何か」という問いに、ネイモン住職は「天台の法を弘めることが難しいのではなく、いかにアメリカ文化に合う布教が出来るのか、その手法を考えることが一番困難なことです」と答えている。日系人と違って、日本文化を全く知らないアメリカ人に対して法を説くのは初めての試みである。それだけに天台宗との密接なコミュニケーションや、布教システムの早期確立などが必要不可欠となるわけである。ニューヨーク別院は経済的にも決して豊かでないだけに、今回の助成はアメリカ開教への大きなエールとなった。
-天台の教えを世界に弘める-
また、インドの地において大乗仏教復興の拠点として大本堂の建設を進めている「インド禅定林」に対しても今回助成が決まったことで、二〇〇七年の完工に向け大きな弾みとなった。サンガ師は少年時にインドから来日、比叡山において天台仏教を学んでいる。仏教の発祥の地でありながら、インド仏教は十三世紀始めに滅んでしまったが再びその地に仏教を復興させようと故国に帰り、インド社会の底辺層の人々の間に分け入り、様々な活動を行っている。昨年五月には青少年教育と福祉活動の功績が認められ、外国人として初めて正力松太郎賞を受賞、六月には正式に天台宗海外寺院としての承認を受け住職となっている。
今回の助成に当たり、西郊良光天台宗宗務総長は「外国の地において天台の教えを弘めることは困難なことだが、出来る限りの支援を行いたい。天台の教えがアメリカ、インドそして全世界に弘まることになると信じている」と語っている。