木ノ下総長ら福島放射能被災寺を初視察
支援に向けて実態と問題点などを聞き取り
天台宗災害対策本部(木ノ下寂俊本部長)では、11月13日に、東日本大震災で甚大な被害を受けた福島教区の三か寺を視察し、現状を把握すると共に今後の継続的な支援を約束した。
福島第一原発事故による放射能漏洩事故に巻き込まれた寺院に対策本部が入るのは今回が初めて。
対象となったのは福島教区第5部のうち相馬市の日光寺(渡邉亮海住職)と、南相馬市にある妙樂寺(岩崎豪信住職)、圓明院(泉智教住職)。このうち圓明院は事故当時原発20キロ圏の避難指示地域であり、現在も夜間滞在はできない。また日光寺は原発30キロ圏で放射能の影響が大きいものの補償からは取り残されている。さらに妙樂寺は、海岸線近くの磯部地区にあり檀家115名が犠牲になるという甚大な被害を受けた。
視察、および聞き取り調査によって判明したのは、多くの若者の県外流出と、放射能被害によって今後の見通しが立たないことである。
木ノ下本部長は「現場を訪れ、被災された寺院ご住職からその実態をつぶさに聞いて、生々しい現状に圧倒される思いだ。今後対策本部としてもできるだけの支援を行いたいと思っている。遠慮なく申し出て欲しい」と語った。
また現状の災害支援規定においては、津波被害で檀信徒が亡くなったり、放射能による不測の事態は想定されておらず、早急な見直しを要求する声もあった。
妙樂寺を辞したあと、一行は寺院横の磯部の地に建てられた東日本犠牲者の碑文前で慰霊法要を行った。(写真)
(詳細は次号に掲載予定)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
渡邊惠進前天台座主猊下ご遷化
12月16日に宗務庁で天台宗葬
第二五五世天台座主大僧正渡邊惠進猊下が去る11月13日に世寿105歳にて遷化された。平成9年1月より平成19年2月まで天台座主職をつとめられた後、半田孝淳現天台座主猊下に譲職された。
渡邊前座主は、明治43年岐阜県安八郡生まれ。昭和20年延暦寺一山唯心院住職。その後、延暦寺副執行、叡山学院院長、一隅を照らす運動顧問など、一宗及び総本山の要職を歴任され、平成元年には滋賀院門跡門主に就任、平成3年に探題職に上任された。
密葬は11月17日に小堀光實延暦寺執行を喪主に営まれた。また本葬は12月16日午後1時より、木ノ下寂俊天台宗宗務総長を喪主に、式場を天台宗務庁において、天台宗宗葬として執り行われる。