木ノ下宗務総長が初訪中
―半田座主猊下の親書を允観・国清講寺住持へ―
天台宗では、木ノ下寂俊天台宗宗務総長を団長とする参拝団を組織し、去る五月十六日より十八日までの三日間の日程のもと、中国天台山国清講寺を正式参拝した。
参拝団一行は、十七日、国清講寺大雄宝殿において法楽を厳修した後、允観(いんかん)・国清講寺住持と面会、高祖天台大師の御廟である真覚寺を参拝するなど、中国天台山国清講寺との友好を深めた。
帰国された伝教大師は、桓武天皇に帰朝報告を行われ、延暦二十五(八〇六)年には天台宗が公認されている。
したがって天台山は、日本天台宗のルーツであり、聖地といえる。中国と日本天台宗との交流は、国清講寺から一九六四年に金字「妙法蓮華経」が延暦寺に寄贈され、翌年、即真周湛(つくましゅうたん)第二五一世天台座主猊下を代表とする「日本天台宗使節団」が戦後初めて訪中し、友好の歴史を刻んで以来のことである。
今回の正式参拝は、平成二十四年十一月の允観国清講寺住持の晋山式に、西郊良光宗機顧問が天台宗代表として参列してから初めてのもので、木ノ下宗務総長の他には、武覚超比叡山延暦寺執行、小川晃豊天台宗宗議会議長、中島有淳天台宗教学部長らが参加した。
允観国清講寺住持との面会式では、木ノ下宗務総長が半田孝淳天台座主猊下の「私の心は、我祖傳教大師最澄様が万里の滄溟(そうめい)を渡られ、求法された、天台山に深甚より思いを馳せております。国清講寺様と日本天台宗が仏縁において今後更に深い関係が築かれんことを念願いたしております」との親書を読み上げ、今後ますます、友好関係を深めていきたいとの意を伝えた。
なお席上、木ノ下内局一同で写経した『妙法蓮華経』が贈呈され、天台山に納められることになった。
国清講寺には、平成二十一年五月に半田座主猊下を名誉団長とする訪中団が参拝している。同訪中団は、「天台宗開宗千二百年慶讃大法会」の円成を受け、報恩奉告のために派遣されたもので、日中の僧侶による合同法要が執り行われている。またその際、半田座主猊下揮毫による「天台宗永永流傳」と刻まれた記念碑が建立されている。
参拝団一行は、国清講寺を訪れた後、天台大師の御廟のある真覚寺を参拝し、回向を行った。