天台宗で防災士研修講座を開催
防災知識を持つリーダーの育成を目指す
「天台宗・防災士研修講座」(主催 天台宗・天台仏教青年連盟)が昨年、十二月十七、十八日の二日間にわたり開催された。「防災士」とは、特定非営利活動法人『日本防災士機構』による民間資格で、災害時の防災リーダーとして活動する役目を担う。天台宗では「天台宗教師の防災意識、知識を向上させることで、地域防災力向上に寺院が寄与するため、全教区に最低一名の防災士資格取得教師を誕生させる」ことを目的として講座を開設したもの。講座修了後には、資格取得試験が行われ、後日の合否判定で四十五名の防災士が誕生した。
天台宗でも、支援活動の上で、防災士育成が急務であるとの認識を共有し、特に、ボランティアとして現地で支援活動を多く行った仏教青年連盟の中からその声が高まった。
今回、同講座には、各教区などから青年僧を中心に多数が参加、連日午後六時頃まで「災害情報と災害報道」「地震の仕組みと被害」などの講座や「普通救命講習」などの実技講習を熱心に受講した。
参加者からは「災害時に実地でしなければならない数々のことがよく分かった。災害初期段階では、国や自治体による公的な救援活動を待つまでに防災士の役割がいかに大切か痛感した。ここで学んだ講座内容を教区に持って帰り、広く伝えていきたい」との感想が聞かれた。
こうした防災士資格取得の講座の実施は、仏教界ではまだ始まったばかりという。担当した社会部では「今回の資格取得者が各教区に帰り、防災活動の核となって啓発に努めてもらえれば幸いと思う。今後の災害に備え、寺院がどのように支援活動を行っていくか、その第一歩と言える」と語っている。
災害が発生した時、国や自治体による救援活動が機能する前に必要となる活動として、「自助」(自らを守る行動)と「共助」(地域市民と共に助けあう行動)がある。
大地震襲来が囁かれる今日、その際の活動実践の担い手である防災士の育成は、地域のコミュニティに生きる寺院に要請されていると言えよう。宗教者にとって地域防災力の向上は、「心のケア」など精神的な支援と両輪となるものであろう。