「南三陸まなびの里・いりやど」が完成
東北復興拠点の宿泊研修施設 大正大学が中心となって
大正大学(杉谷義純理事長)では、このほど宮城県南三陸町入谷に宿泊研修施設「南三陸まなびの里・いりやど」(運営・一般社団法人南三陸研修センター)を建設した。同大は、いりやどを、「南三陸エリアキャンパス」と位置付け、ボランティア活動などで復興を支えるのはもちろん、人と自然との関係を有機的に学ぶプログラムも計画している。
「いりやど」は、東日本大震災後に南三陸町有志によって設立された東北再生「私大ネット36(さんりく)」の活動拠点として、各大学の特色を活かしたボランティア活動や教育プログラムを展開していく。この計画には大学関係ばかりではなく、天台宗も三百万円を寄贈、また各教団・宗派も支援を行うなど、宗教界からも協力の輪が広がっている。
施設の運営スタッフは、東日本大震災の被災者があたる。「いりやど」とは、「入谷」と「宿」、さらに「IRIYA DO!!(やります、入谷!)」という復興に向けた決意が込められている。
多田孝文同センター理事長は「いりやどは、学生、教職員が集い、人々との交流を通じて、自然の営みと復興に向けての人間の力強い歩みを学ぶ活動の場となる」と述べている。三月に行われた竣工式典では解剖学者で名誉館長となった養老孟司さんの特別記念講演も行われた。
南三陸町は恵まれた自然環境が残ることから、京都大学で始められた森・里・海の環境連環学の協力を得て、人が関わる山と海の連環を有機的に学ぶ「森里海連環学」や、里山づくりを学習するプログラムなども計画されている。
杉谷理事長は「キャンパスの中だけでは人間教育はできない。地元の復興と一体となる所に、大正大学の建学の精神である大乗仏教精神に基づいた智慧と慈悲の実践がある。被災者の方々を支援しつつ、私どもも恩恵を受けることになる」と語っている。
施設は、加盟校の学生の他、個人やビジネス客も宿泊できる。
また震災復興学習や地域産業振興支援など、初めて被災地を訪れる利用者向けのプログラムも、今後、実施される予定である。