開宗千二百年慶讃大法会
檀信徒総授戒に希望者相次ぐ-法悦あふれる会場-
天台宗開宗千二百年慶讃大法会の中心である総授戒運動「あなたの中の仏に会いに」が、日を追う毎に大きな盛り上がりを見せている。各教区で予定されていた授戒者数を大幅に上回り、中には当初予定の三倍近い希望者が殺到し、急遽会場を増やすケースも。大法会事務局は「各教区の熱い意気込みを感じる。今年ばかりでなく、来年度についても着実に申請を頂き、誠に有り難い」と語る。
また、五月二十三日に授戒会の行われた山形教区では、当初二百人で一座の予定が、六百二十人と三倍に増え、予定会場の寶光院(工藤秀和住職)だけでは対応出来なかったために、柏山寺(冨樫和廣住職)と二会場に分けて修された。同教区では、各寺院へ、希望者の自主参加を呼びかける方式をとったが、昭和六十一年に立石寺で授戒会(ご親教)が行われて以来十八年ぶりということもあって、大幅な希望者増に結びついたとも言える。
工藤住職は「檀家さんの熱い希望もさることながら、信者さんからの参加希望が多く、当日ぎりぎりまで予想がつきにくかった。嬉しい誤算です」と語る。
-家族全員が参加のケースも-
天台宗が、全国単位で総授戒を呼びかけるのは、今回の開宗千二百年慶讃大法会が初めて。昨年から始められ、六月に茨城教区が先発したが、実質的には昨年度は秋に集中し、三千三百人の戒弟が誕生した。今年度は、当初予定七千人に対して、八千三百人を越えている(五月二十日現在)。大法会の趣旨PRの徹底に加えて、各教区宗務所長を中心とした熱意の結果が、希望者の増加につながっている。
今回の大きな特徴として、これまで授戒といえば、個人で受ける傾向が強かったが、各地で夫婦や家族全員を単位とした授戒を申し込むケースが多いことがあげられる。また他宗の檀家であっても、天台宗寺院の信者である場合、躊躇なく授戒を希望するという。
授戒を受けた人々の中には、感極まって泣き出す人もあり「これまでと違う自分であることを確信でき、有り難い」と「わたしの中の仏」に出会った感動を素直に受けとめ、精進を誓う姿がみられる。
各寺院では、これらの戒弟と日々接することにより、住職と戒弟が信仰を中心としたより深い関係に進むことができるために、授戒会を「仏性感得の場」と位置づけており、戒を授かった人々が中心となって、発心会に進むことも期待される。
五月二十九日の南総教区では四百七十人(当初予定四百人)、六月十日の信越教区では四百三十三人(当初予定三百人)、同十六日の神奈川教区では七百四十七人(当初予定七百人)と、いずれも大幅な希望者の増加をみている。