半田座主猊下、気仙沼で慰霊法要
「全国民が皆様に心を寄せている」と励ましのお言葉
半田孝淳第二百五十六世天台座主猊下は、五月十一日に東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県気仙沼市に赴かれ、観音寺(鮎貝宗城住職)を会場に、東日本大震災で犠牲になられた全ての人々に対する慰霊法要を厳修された。座主猊下が被災地に赴かれて慰霊法要を修されるのは始めて。同法要によって、天台宗は、これからの復興に向け全力で取り組む姿勢を改めて内外に示した。
伝統仏教教団の管長が被災地で慰霊法要を行うのは天台宗が初めて。
同日午前中に、慰霊法要に先立って半田猊下は、気仙沼鹿折地区を視察された。
鹿折地区は地震、津波、火災によって壊滅的な被害を受けた地区である。あまりの悲惨さに半田猊下は絶句され、涙を流された。
慰霊法要は、阿純孝宗務総長はじめ天台宗全内局、総本山延暦寺から武覚超執行、水尾寂芳教化部長が出席。地元陸奥教区からは山田俊和中尊寺貫首を始め、教区役職員、また全国各地より、宗機顧問、宗議会議員、宗務所長や仏教青年会有志らが出仕、福聚教会会員が御詠歌を奉納した。そして、親族を今回の大震災で失った観音寺檀家の人々ら約三百名が参列して午後二時から開式した。
半田座主猊下は法則で「今日まで、遙かに慰霊復興の祈念を捧げ、本日茲(ここ)に、直々に、気仙沼観音寺ご宝前にぬかずくことを得て,更に深く祈りを凝らす」と述べられた。
さらにお言葉では「被災地を見て、惨事の様を目の当たりにしました。報道を通じて心配していましたが、その全体に触れ何ともいえない気持ちです。現場でお参りしながら、皆様の気持ちが少しは分かった気がします。人は独りではありません。大勢の人に支えられながら生きています。今回の大惨事で、全国民が心を寄せ、物資を寄せ、皆様の復興を願っています。どうぞ、亡くなった方の分まで生きて、復興に力を尽くして下さい」と述べられた。
この後、午後二時四十六分に全員で黙祷を捧げ、阿宗務総長は「亡くなった方は、別の世界、浄土におられます。誰も浄土に行くことができます。不幸にして命を絶たれた人も仏様のそばにおられるのです。そのことが信じられれば心が安らかになります」と述べて慰霊法要を締めくくった。