被災地で慰霊法要、座主猊下導師で
5月11日 気仙沼市・観音寺にて、檀信徒も参加
東日本大震災に対応するため、天台宗では四月二十七日に、第百二十二回臨時宗議会(栢木寛照議長)が招集された。議会冒頭の「お言葉」で半田孝淳天台座主猊下は「今こそ、宗徒一丸となって全力を挙げ、宗祖大師の示された『忘己利他』の心を、被災地の皆様に届ける秋(とき)」と述べられ、阿純孝宗務総長は、十一日に気仙沼市・観音寺で座主猊下大導師にて慰霊法要を営むと発表した。
この座主猊下の震災犠牲者への哀悼と被災者へのお見舞いのお言葉に対し、栢木宗議会議長は「『日本は必ず復興する』『天台宗はこの悲しみを必ず乗り越えられる』という確信が涌いて参ります。今回の臨時宗議会は天台宗が、日本の再生に微力なりともその責務を果たす議会になるものと存じます。」と答えた。
阿宗務総長は「寺院の復興はもとより檀信徒が一日も早く平常生活に戻れるよう支援方法を考えなくてはならない。今後の課題は寺院の復興と檀信徒に向けての心のケアである」と述べ、震災で親を亡くした子供たちのために「一隅を照らす運動総本部」で里親制度を考えるとした。
被災地での追悼慰霊法要は、十一日午後に宮城県気仙沼市観音寺(鮎貝宗城住職)で営まれ、大震災が発生した十四時四十六分には黙祷が捧げられる予定。
観音寺では、津波で檀信徒五百世帯が流され、死者・行方不明者が多数出ている。
天台宗では、震災発生以来、災害対策本部を設け、阿宗務総長を先頭に職員が被災地に入り、救援・支援活動を続けている。また、仏教青年連盟や各教区もボランティア活動を展開している。
この度の臨時宗議会において復興支援のため約六億円の臨時会計予算を承認したことにより、一宗挙げての支援活動の実働へ歩みを進めることになる。
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東日本大震災支援
第一、二地区臨時宗務所長会を開催
三月三十一日、東京教区宗務所で、第一、二地区臨時宗務所長会議が開催され、東日本大震災の被災寺院・檀信徒救援について緊急協議が行われた。
席上、天台宗社会部から災害補償制度の適用事項、義援金の寄託状況、被災者受け入れを表明している寺院数などが説明された。これを受け、板倉慈慎東京教区宗務所長から約四十ヶ寺が被災者受け入れを表明していること、被災檀信徒の就学生の下宿受け入れなどの支援策が明らかにされた。また、被災した福島教区の矢島義兼副所長からは、被害状況が説明され、宗としての支援を要請した。
これに対し、阿純孝宗務総長が「寺院も檀信徒も壊滅的な被害を受けている。過去の災害復興支援よりも更に幅広く支援していきたい。迅速な対応と共に、長期戦を覚悟している」と決意を述べた。